この記事の結論
経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」を使うと、IT・デジタル分野の講座を受講しながら、受講費用の一部を国の補助で軽減できます。補助は2段階で、講座を修了した時点で最大40万円、転職後1年の継続就業が確認できた時点で追加最大16万円、合計で最大56万円です。ただし対象になるのは「サービスに登録する時点と、キャリア相談の初回面談時点で在職中の人」に限られます。退職してから申し込んでも対象になりません。IT未経験からの転職を考えているなら、退職前に動き始めるかどうかが最初の分かれ道です。
この記事でわかること
「スクールに通いたいけど費用が高い」「補助金があるらしいけど自分は対象なのか分からない」というIT未経験の転職希望者に向けて、経済産業省の公式サイトで確認できる範囲の情報だけを使い、対象条件・補助額の内訳・申請の流れ・注意点を整理しています。
数値や条件は公式サイト(careerup.reskilling.go.jp)で確認できる内容を基準にし、公式サイトに明記のない情報は「解説記事による情報」として区別して書いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 事業名 | 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」 |
| 対象者 | サービス登録時・キャリア相談の初回面談時に在職中で、雇用主の変更を伴う転職を目指す人 |
| 補助の上限 | 講座修了時に最大40万円+転職後1年継続就業で追加最大16万円=合計最大56万円 |
| 事業期間 | リスキリング提供・転職支援は2027年3月31日まで(転職後フォローは2028年3月31日まで) |
| 申し込み窓口 | 公式ポータル(careerup.reskilling.go.jp)から補助事業者を検索し、事業者サイトで直接申し込み |
出典:経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」公式サイト(転職をご検討の方向けページ)。確認日:2026年8月。
自分は対象になる?先にセルフチェック
- 今の勤務先で、雇用契約を結んだまま働いている(在職中である)
- 今の勤務先を辞めて、別の会社に転職することを考えている
- まだ退職しておらず、これから講座探し・申し込みを始められる
- IT・デジタル分野の講座を受けてみたいと考えている
この4つのうち、特に上2つに当てはまらない場合は、この制度の対象外になる可能性が高い状態です。次の見出しで条件を詳しく確認してください。
① そもそも「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」とは
名前が長く、最初は何をしてくれる制度なのか分かりにくいと感じるかもしれません。やっていることを一言でまとめると「働きながらキャリア相談→講座受講→転職支援を、一気通貫でサポートしてくれる国の事業」です。経済産業省が民間の事業者(転職エージェントやスクールなど)を補助事業者として認定し、その事業者を通じてキャリア相談・講座受講・転職支援・費用補助がセットで受けられる仕組みになっています。
制度の目的と運営
公式サイトでは、在職者が民間の専門家にキャリアを相談し、その結果に基づいてリスキリング講座を受講し、講座修了後は転職支援も受けられる、という一連の流れが説明されています。運営は経済産業省で、実際のキャリア相談・講座提供・転職支援は、経産省に認定された補助事業者(転職エージェントやスクールなど)が担当します。国が直接個人にお金を渡す制度ではなく、認定事業者を経由して補助が適用される点は理解しておくとよいところです。
事業期間(2027年3月末まで継続)
この事業はもともと数年前から実施されていますが、リスキリング提供・転職支援の実施期間は2027年3月31日まで延長されています。転職後の就業状況フォローアップについては、さらに先の2028年3月31日まで実施予定です。年度をまたぐたびに延長・変更される可能性があるため、実際に申し込む直前に公式サイトで最新の実施期間を確認しておくと安心です。
未経験からのIT転職の全体像を先に把握しておきたい場合は、フリーター・未経験からIT転職する完全ガイド【監視OP体験記】もあわせて読んでおくと、この制度をどのタイミングで使うか判断しやすくなります。
② 対象者の条件をチェック|在職中でないと使えない理由
この制度で一番つまずきやすいのが対象者の条件です。「講座を受けてから転職活動を始めよう」と先に退職してしまうと、その時点で対象から外れる可能性があります。順番を間違えないよう、条件を先に確認しておきましょう。
対象者の要件(公式サイト確認)
公式サイトには、サービスへの登録時とキャリア相談対応における初回面談時に在職者であり、雇用主の変更を伴う転職を目指している方が対象、と明記されています。つまり「今の会社で雇われた状態のまま、別の会社への転職を目指している人」がこの制度の基本的な対象像です。年齢の上限・下限についての記載は公式サイトに見当たらないため、雇用形態や年齢だけで一律に締め出されるわけではなさそうです。
対象外になりやすいケース
公式サイトの表現から逆算すると、次のようなケースは対象条件を満たしにくいと考えられます。あくまで公式の文言に基づく推測のため、判断に迷う場合は補助事業者や公式サイトの問い合わせ窓口に直接確認するのが確実です。
対象条件で注意したいケース
- すでに退職していて、次の勤務先が決まっていない状態で申し込もうとしている
- 登録・初回面談の時点で、雇用契約のない働き方(個人事業主やフリーランスなど)をしている
- 今の勤務先での配置転換や役職変更だけを考えていて、雇用主自体を変える予定がない
失業保険を受け取りながら転職活動をする方法とは前提が異なるため、すでに退職してしまっている場合は失業保険をもらいながら転職する方法【手順・注意点・エージェント活用を解説】も参考にしながら、自分に合う支援制度を探してみてください。
自分が対象になるか判断に迷う人は、まず無料のキャリア相談で状況を整理する
③ 補助金額はいくら?最大56万円の内訳
「最大56万円」という数字だけが独り歩きしがちですが、実際には2段階の補助が合計された金額です。片方だけ受け取って終わる人も多いはずなので、内訳を分けて理解しておくと、実際にいくら戻ってくるかの見通しが立てやすくなります。
※ この表は横にスクロールできます
| タイミング | 補助率 | 上限額 | 補助を受ける条件 |
|---|---|---|---|
| ①講座修了時 | 受講費用(税別)の1/2相当額 | 40万円 | 対象講座を受講し、修了すること |
| ②転職後1年継続就業時 | 受講費用(税別)の追加1/5相当額 | 16万円 | 転職後、1年間の継続就業が確認できること |
| 合計(①+②) | - | 最大56万円 | 講座修了と転職後1年継続就業の両方を満たすこと |
出典:経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」公式サイト。確認日:2026年8月。
40万円が出る条件(講座を修了すること)
まず受け取りやすいのが、講座を受講・修了した時点で支給される受講費用の1/2相当額(上限40万円)です。受講費用が高いほど補助額も上がりますが、上限は40万円までなので、それ以上高額な講座を選んでも補助額自体は増えません。講座選びの段階で、費用と上限額のバランスは意識しておきたいところです。
追加16万円が出る条件(転職後1年の継続就業)
もう1段階の補助は、転職してから1年間その会社で継続して働いたことが確認できた時点で支給される追加1/5相当額(上限16万円)です。講座を修了しただけでは受け取れず、転職・就業継続まで進んで初めて満額の56万円に届きます。公式サイトの注記では、この追加補助の対象となる「転職」を「補助事業で実施された職業紹介による転職」または「転職支援を実施する職業紹介事業者が自社で雇用する転職」に限定すると明記されています。つまり、対象講座を受けた事業者(またはその事業者と提携する職業紹介)を通じて転職することが条件で、講座だけ受けて別ルートで転職した場合は対象外になる可能性があります。申し込み前に、利用予定の事業者へ「自社経由の転職として扱われる範囲」を確認しておくと安心です。
対象講座を扱う事業者としては、IT・インフラ系の学習支援に強いウズウズITや、IT/Web特化型のエージェントであるギークリーなど、未経験者向けのサポートを行っている事業者もあります。ウズウズITは使うべき?未経験からSES・インフラ転職したい20代向けに本音で解説やギークリーは未経験でも使える?IT/Web特化エージェントのメリット・デメリットと使い方で、それぞれのサポート内容を先に押さえておくと、この制度と組み合わせるときに迷いにくくなります。
④ 対象講座にIT・デジタル分野は含まれる?未経験者が選ぶときの注意点
IT未経験からの転職を考えている場合に気になるのが、そもそも自分が受けたい講座がこの制度の対象になっているかどうかです。
公式ポータルでの講座の探し方
公式サイトの「補助事業者を探す」ページでは、職種やスキル分野から講座を絞り込んで検索できます。検索可能なスキル分野には「IT/デジタルスキル」も含まれているため、条件を絞り込みながら該当する講座・事業者を見つけていく流れになります。ただし、現時点で事業を開始しているすべての事業者を網羅的に検索できるわけではない旨も注記されており、気になる事業者がある場合は事業者名で直接調べたほうが早いこともあります。
費用・負担軽減額は事業者ごとに違う
受講費用そのものや、補助適用後の実質負担額は、講座を提供する事業者によって差があります。公式サイトにも「受講金額や負担軽減の金額は事業者によって異なる」旨の注記があるため、「この講座なら必ずこの金額が戻ってくる」という一律の目安はありません。気になる講座が見つかったら、事業者サイトで具体的な金額を確認してから申し込みを判断してください。
IT未経験者がまず押さえておきたい基礎知識は、IT業界未経験者が転職前に知っておきたい基礎知識7つ【わかりやすく解説】で整理しています。講座選びの前提として目を通しておくと、事業者選びの判断材料が増えます。
⑤ 申請から補助金受給までの流れ(5ステップ)
手続きの説明だけ読むと複雑に見えますが、受講者側がやることは大きく5つのステップに分けられます。
公式ポータルで講座・事業者を検索する
careerup.reskilling.go.jpの「補助事業者を探す」ページで、職種やIT・デジタルスキルなどの分野から絞り込みます。
事業者サイトで申し込み・キャリア相談を受ける
気になる事業者が見つかったら、その事業者のサイトに移動して申し込み、無料のキャリア相談を受けます。この時点で在職中であることが条件です。
対象講座を受講・修了する
相談内容をもとに選んだ講座を受講します。修了すると、受講費用の1/2相当額(上限40万円)の補助対象になります。
転職支援を受けて転職する
講座修了後、事業者による転職支援・職業紹介を受けながら、雇用主の変更を伴う転職を進めます。
転職後1年の継続就業を確認し、追加補助を受ける
転職先で1年間継続して働いたことが確認できると、追加1/5相当額(上限16万円)が補助されます。
実際に申し込む事業者を選ぶ段階で「未経験に強いかどうか」も判断材料になります。未経験に強い転職エージェント7選【2026年最新】実体験で選んだランキングと失敗しない基準もあわせて確認しておくと、講座選びと転職エージェント選びを同時に進めやすくなります。
⑥ IT未経験者がつまずきやすい注意点
仕組みだけ見るとシンプルですが、実際に使おうとすると見落としやすいポイントがいくつかあります。
退職してから気づいても遅い
一番多い失敗パターンが、先に退職してから「補助金があると知ったが、もう対象外だった」というケースです。対象条件は登録時・初回面談時に在職中であることなので、退職を考えているなら、退職前にこの制度を確認するかどうかを先に決めておく必要があります。
講座を取っただけで満足しない
40万円分の補助は講座修了時点で確定しますが、追加の16万円は転職して1年継続して初めて確定します。講座を修了すること自体がゴールではなく、その先の転職活動・入社後の継続勤務までがワンセットだと考えておくと、途中で気が抜けにくくなります。
追加補助は「事業者経由の転職」が条件
前述のとおり、公式サイトの注記で、追加16万円の対象となる「転職」は補助事業者による職業紹介、またはその事業者と提携する職業紹介経由に限定されています。講座だけ受けて全く別のルートで転職した場合は、対象外になる可能性があります。申し込み前に、利用予定の事業者へ「自社経由の転職として扱われる範囲」を具体的に質問しておくと、あとから条件を満たしていなかったという事態を避けやすくなります。
受講後の学習面では、ITパスポート・基本情報技術者やCCNAといった資格と組み合わせて学習計画を立てる人も多いです。ITパスポート・基本情報技術者は転職で本当に役立った?筆者が使ってみた実感やCCNAは独学で何ヶ月かかる?未経験・現役監視オペレーターの学習ロードマップも参考にしてください。
⑦ 支援金を使うべき人・独学でよい人
この制度は誰にとっても得になるわけではありません。自分の状況と照らし合わせて判断してください。
支援金の利用を検討したい人
- 今の勤務先を辞めずに、次の転職先を探している最中
- IT・デジタル系のスクールや講座に興味はあるが、費用がネックで踏み出せていない
- 独学だけでは学習を継続しにくいと感じている
- 転職活動とあわせてキャリア相談も受けたい
独学や他の方法のほうが向いていることもある人
- すでに退職していて、対象条件を満たせない状態にある
- 今すぐ転職したく、講座受講の期間を待てない
- 独学の教材や無料学習コンテンツで十分に基礎を身につけられている
- 特定の講座に強いこだわりがなく、対象講座の中から選ぶこと自体に抵抗がある
フリーターから未経験でインフラエンジニアを目指す場合の全体像は、フリーターから未経験でインフラエンジニアに転職|20代後半でも内定が出た理由でも触れています。支援金を使うかどうかにかかわらず、転職までの道筋を先にイメージしておくと判断しやすくなります。
まとめ|在職中に動けるかどうかが最初の分かれ道
- 経済産業省「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」は、講座修了時最大40万円+転職後1年継続就業時最大16万円、合計最大56万円の補助制度
- 対象は、サービス登録時・キャリア相談初回面談時に在職中で、雇用主の変更を伴う転職を目指す人
- 事業期間はリスキリング提供・転職支援が2027年3月31日まで、転職後フォローは2028年3月31日まで(2026年8月時点の公式情報)
- 対象講座にはIT・デジタルスキル分野も含まれるが、具体的な金額・条件は事業者ごとに確認が必要
- 退職してから気づくと対象外になりやすいため、在職中に情報収集・申し込みを進めることが重要
まずは公式サイトで自分が対象条件を満たしているかを確認することが最初の一歩です。あわせて、転職エージェントで求人状況やキャリア相談を並行して進めておくと、講座選びと転職活動をスムーズにつなげられます。
よくある質問
在職中に動けるうちに、IT/Web特化エージェントで求人と相性を確認する
Q. リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業は誰でも使えますか?
サービス登録時とキャリア相談の初回面談時に在職中で、雇用主の変更を伴う転職を目指している人が対象です。年齢の上限・下限は公式サイトに明記されていません。
Q. すでに退職しているのですが、今から申請できますか?
公式サイトの説明では、登録・初回面談の時点で在職中であることが条件とされているため、退職後の申し込みは対象になりにくいと考えられます。判断に迷う場合は補助事業者へ直接確認してください。
Q. 補助金はいつ・いくらもらえますか?
講座を修了した時点で受講費用の1/2相当額(上限40万円)、転職後1年間継続して働いたことが確認できた時点で追加1/5相当額(上限16万円)です。合計で最大56万円になります。
Q. どんな講座が対象になりますか?
公式ポータルで「IT/デジタルスキル」を含む分野から検索できます。具体的な講座・費用・負担軽減額は事業者ごとに異なるため、公式ポータルで補助事業者を探し、事業者サイトで確認してください。
Q. 転職エージェントを普段使いしていても、この制度は併用できますか?
制度自体は補助事業者を通じて利用するものですが、情報収集や求人確認のために別の転職エージェントを並行して使うこと自体は制限されていません。追加補助の適用条件など細かい点は、利用予定の事業者へ事前に確認しておくと安心です。


