この記事の結論
監視オペレーターの仕事のうち、アラートの目視確認や定型記録のような単純作業は、今後も自動化が進んでいきます。一方で、アラートが鳴ったときに様子を見るかエスカレーションするかを判断する部分や、保守業者との調整は、当面は人が担う領域として残ると筆者は感じています。
現役監視オペレーターが見る自動化の実感
「監視オペレーターの仕事はAIでなくなる」という言葉を見て、不安になっていませんか。
筆者は現在データセンターで監視オペレーターとして働きながら、Zabbix・Nutanix Prism・TeraTerm・A-Autoといったツールを日常的に使っています。この記事では、根拠のない断定は避け、現場で感じている自動化の進み方と、まだ人の判断が必要な部分を整理し、今後どう動けばよいかを考えます。
①「監視オペレーターはAIでなくなる」と不安になる理由
ニュースやSNSでは「AIによって多くの仕事がなくなる」という話をよく見かけます。監視オペレーターは決まった手順に沿って画面を確認する場面が多いため、真っ先に自動化されると感じる人が多いのは自然なことです。
ただ、こうした不安の多くは「監視オペレーターの仕事」をひとかたまりにとらえたまま生まれています。実際の業務を分けて見ていくと、進みやすい部分と進みにくい部分がはっきり分かれます。
この記事で扱う不安
- 単純作業から自動化されると聞くが、自分の仕事がどこまで当てはまるのか分からない
- 「なくなる」と言われても、具体的に何がどう変わるのかイメージできない
- 今のまま監視オペレーターを続けていて大丈夫か判断できない
- AIの話に詳しくなくても、この仕事を続けていけるのか不安
②筆者が現場で使っているツールと自動化の実態
③監視オペレーターの業務を分解する|自動化が進む部分・進みにくい部分
「監視オペレーターの仕事」とひとことで言っても、実際には複数の作業に分かれています。業務ごとに自動化の進み方を分けて考えると、不安の正体が見えやすくなります。以下は筆者の現場感覚に基づく整理で、統計的な断定ではありません。
| 業務 | 自動化・AI活用の進み方 | 理由 |
|---|---|---|
| アラートの検知・通知 | 進みやすい | しきい値超えなど、条件が決まった判定はツールで再現しやすいため |
| 定型レポート・記録の作成 | 進みやすい | 書式が決まった文書は自動生成と相性がよいため |
| 手順書どおりの一次対応 | 一部進むが人の確認が残る | サーバー再起動など、誤操作の影響が大きい作業は人が最終確認する必要があるため |
| エスカレーション先の判断 | 進みにくい | 過去の経緯や現場の状況を踏まえた総合的な判断が必要なため |
| 保守業者・関係者との連絡調整 | 進みにくい | 人同士のやり取りや、その場での例外対応が発生しやすいため |
※業務ごとの分類は筆者の現場感覚に基づく整理です。IT人材のスキル動向は経済産業省「IT人材需給に関する調査」等でも継続的に報告されているため、最新の全体傾向は公式資料であわせてご確認ください(2026年7月確認)。
④実際に自動化・AIで変わったと感じること
具体的な場面で考えてみます。Zabbixでしきい値を超える数値が出ると、自動で通知が届きます。この「異常を検知して知らせるまで」の部分は、以前から自動化されている領域です。
通知を受け取った後、筆者はまずその数値が一時的なものか、実際に対応が必要な異常かを確認します。手順書に沿って一次対応を行い、それでも改善しない場合や判断に迷う場合は、上位の担当者へエスカレーションします。この「様子を見るか、エスカレーションするか」を決める部分は、今のところ人が担っている実感があります。
A-Autoについても同様です。決まったジョブを決まった時間に流す部分は自動化されていますが、ジョブが異常終了した場合に「なぜ止まったのか」を切り分けて関係者に連絡する部分は、人が対応しています。つまり自動化やAIは、監視オペレーターの仕事を丸ごと置き換えるのではなく、定型部分を先に引き受ける形で広がっている、というのが筆者の実感です。
⑤「なくなる」「なくならない」を断定せずに考える
「監視オペレーターの仕事はなくなる」「いや、なくならない」という二択で語られることがありますが、現場で感じるのは、仕事の中身が入れ替わっていく過程にあるという実感です。
単純な目視確認や定型記録の作業は、今後さらに自動化が進むと考えられます。一方で、状況を踏まえた判断や、人同士の調整が必要な部分は、今すぐになくなるとは考えにくい領域です。IT人材全体の動向としても、DX推進やクラウド化にともなう人材不足が経済産業省の資料などで継続的に指摘されており、業務内容の変化に対応できる人材への需要は続くと見られます(詳細な数値は公式資料でご確認ください)。
注意
「監視さえしていれば大丈夫」という考えのまま、定型作業だけを何年も続けると、担当できる範囲が広がらず、市場価値が伸び悩みやすくなります。これは筆者自身も意識している注意点です。
⑥監視オペレーターとして今後も必要とされる人の条件
自動化が進む中でも、現場で必要とされ続ける人には共通点があると筆者は感じています。
伸びやすい人の特徴
- アラートが鳴った理由を、手順書だけでなく自分の言葉で説明しようとする
- エスカレーションの判断基準を、先輩や上長に確認しながら身につけていく
- 監視業務と並行して、ネットワークやクラウドの基礎知識を学ぼうとする
伸び悩みやすい人の特徴
- 手順書に書かれた操作だけを繰り返し、理由を考える機会を持たない
- 同じ現場・同じ作業を数年続けても、担当範囲が変わらないままにしている
- 資格取得やスキルアップを「いつかやる」と先送りし続ける
⑦監視オペレーターの次のキャリアを考える
自動化の話を聞いて不安になったときこそ、監視オペレーターの次にどんなキャリアがあるかを整理しておくタイミングです。監視業務の経験は、サーバーやネットワークの基本的な動きを理解している証明になり、インフラエンジニアへのステップアップの土台になります。
くわしいステップアップの進め方は、監視OPからインフラエンジニアへのキャリアアップ方法で整理しています。また、インフラエンジニア全体の将来性についてはインフラエンジニアの将来性もあわせて確認しておくと、監視オペレーターの先にどんな選択肢があるかが見えやすくなります。
SESとして働いている場合は、契約更新のタイミングも動き方を考える節目になります。自動化の影響で担当業務が変わってきたと感じたら、SESの契約更新で転職を考えるべきタイミングと判断基準もあわせて確認しておくと、次の一歩を判断しやすくなります。
⑧向いている人・向いていない人
監視オペレーターを続けながら伸びやすい人
- 自動化される部分とされない部分を分けて考えられる
- アラート対応をしながら、次のスキルアップを並行して考えられる
- 判断やエスカレーションの経験を積極的に積みたい
今のまま続けると不安が残りやすい人
- 手順書どおりの作業だけを何年も続けている
- 「AIで仕事がなくなるかも」という不安だけで、次の行動に移せていない
- 資格取得やキャリア相談を先延ばしにしている
まとめ|自動化される部分を見極め、判断できる領域を伸ばす
- アラート検知や定型記録のような単純作業は、今後も自動化が進む
- エスカレーションの判断や、保守業者との調整は、当面は人が担う領域として残りやすい
- A-Autoのような従来型の自動化は、AIが話題になる前から現場に入っている
- 「なくなる」「なくならない」の断定ではなく、業務ごとに分けて考えることが大切
- 手順書の作業だけにとどまらず、判断力とスキルを伸ばす人ほど不安が小さくなる
まずは自分の担当業務のうち、どこが自動化されやすく、どこが人の判断に残るかを分けて考えてみてください。不安なまま止まるより、次のキャリアの選択肢を知っておくことが、判断の助けになります。
よくある質問
Q. 監視オペレーターの仕事は今後なくなりますか?
「なくなる」と断定できる根拠はありません。アラート確認や定型記録のような単純作業は自動化が進む一方、エスカレーションの判断や調整の部分は当面残ると筆者は感じています。
Q. ITやAIに詳しくなくても監視オペレーターとして働けますか?
未経験からでも始めやすい職種です。筆者もフリーターからIT未経験で転職しました。ツールの使い方は入社後の研修や実務で身につけられます。
Q. 監視オペレーターのまま続けるのと、インフラエンジニアにステップアップするのとどちらがいいですか?
どちらが正解ということはありません。監視業務の中で判断できる範囲を広げていく道もあれば、資格を取ってクラウドや構築の領域へ進む道もあります。自分がどちらに近づきたいかで選び方が変わります。
Q. 転職エージェントへの相談は無料ですか?
本記事で紹介しているIT特化の転職エージェントは、いずれも相談・利用が無料です。今の職場を続けながら、将来の選択肢を知る目的だけで相談することもできます。
Q. 自動化が進む前に、今からできることはありますか?
まずは自分の担当業務のうち、定型作業と判断が必要な作業を分けてみることです。そのうえで、ネットワークやクラウドの基礎資格の学習を並行して進めると、次のキャリアの選択肢が広がります。
Q. 自動化の影響で担当業務が減ってきたと感じたらどうすればいいですか?
一人で抱え込まず、まずは上長に今後の担当範囲を相談してみてください。あわせて転職エージェントに市場価値を確認しておくと、社内でのキャリアアップと社外への転職の両方を比較しながら判断できます。


